紫微斗数の基礎
はじめに
紫微斗数は人と外部環境の関係を考える学問です。本サイトのアプローチは、伝統的な学び方と異なる場合があります。すでに学んだ方は、これまでの知識と食い違う説明もあるため、ご自身の理解と照らし合わせて慎重に読んでください。主に初心者向けにしくみを分かりやすく紹介し、その面白さを知ってもらうことを目指しています。誤りがあればご指摘ください。
このシリーズの記事はオリジナルです。転載の際は出典を明記してください。
ヒント
本サイトは論理的な推論を中心に説明します。神秘的な解釈を好む方は、その違いを踏まえてお読みください。
紫微斗数は何ができるでしょうか?
多くの方は紫微斗数を、古代中国の運命を占う術としてだけ知っているかもしれません。ただ、私の考えでは、それは娯楽としての機能で、全体ではありません。専門の実践者の方にも、力を否定しているわけではないとご理解いただければと思います。占いの意味を知らないまま、未知への恐れや不安から超自然的な助けを求める人もいます。この章からは、より全体的に紹介します。では、紫微斗数で何ができるのでしょうか。
性格の推論
命理学や心理学のさまざまな手法は、MBTIのような質問形式の分析も含め、人の性格を考えます。性格は単純で一面的なものではなく、相手や場面によって大きく違う姿を見せます。そのため、単純な分類だけでは説明しきれません。紫微斗数は12の
宮位を使い、さまざまな面を分析、分類することで、細かな性格の特徴を読み取ります。性格の推論が実際の性格とかけ離れている場合は、そこで止めてください。最初の段階が合ってこそ、その後の解釈にも意味があります。食い違いの原因として、次のことが考えられます。
出生時刻の情報の誤り
出生時刻は、親の記憶が正確でない場合もあるため、誤りの起こりやすい情報です。1つの時辰は現在の2時間に当たります。3時ごろなど境界に近い場合は2つの命盤が考えられるため、両方を見て、実際の性格にどちらが合うかを比べるとよいでしょう。
記録された出生時刻に誤りがある場合もあります。例えば、実際には2時54分に生まれたのに3時5分と記録されると、出生時辰が変わってしまいます。
暦の変換や区切り方の違いによって、命盤が変わることもあります。紫微斗数で用いる中国の農暦は、それ自体が太陰太陽暦です。月は月の満ち欠けに従い、節気は太陽の季節的な動きを示します。そのため、農暦の月の区切りと、一部の干支計算で用いる節気の区切りは区別する必要があります。節入りの時刻も、必ずしも午前零時ではありません。境界付近に生まれた場合は、日付の変換と適用する排盤規則を確認したうえで、候補となる命盤を比較してください。
サマータイムなどの時計の調整で、出生時辰がずれる場合もあります。以下は中国本土でサマータイムが実施された期間です。この期間に生まれた場合は、記録時刻から1時間引きます。ただし、親がすでに補正していることもあるため、先に確認してください。詳しくは
百度百科事典を参照してください。中国本土の夏時間 1986年5月4日~9月14日(1986年は夏時間開始年のため、5月4日開始、9月14日終了) 1987年4月12日から9月13日まで 1988年4月10日から9月11日まで 1989年4月16日から9月17日まで 1990年4月15日から9月16日まで 1991年4月14日から9月15日まで 他の国または地域における夏時間の実施時間については、現地の公式データを参照してください。
命盤を読む人の紫微斗数の習熟度
読む人によって習熟度が異なるため、逆の結論になることもあります。出生時刻が正しいと分かっていれば、こうした食い違いに気付きやすくなります。対面で相手の表情や反応を見て誘導する言葉に頼る場合は、自分の力不足を認めたくないのかもしれません。私自身の実力も普通ですが、うまく分析できなかった場合は率直に受け止めます。一度不正確だったからといって、紫微斗数全体への信頼を失わないでほしいと思います。アルゴリズムや文書を公開したのも、誰もが基礎を持ち、興味があれば詳しく研究できるようにするためです。
命盤を読む人の伝え方
伝え方や理解の仕方も、食い違いの原因になります。同じ『ハムレット』でも読む人によって解釈が違い、作者がカーテンを青く描いた理由の読み方もさまざまです。同じように、命盤を読む人が伝えたいことと、持ち主が受け取る意味にも差が生まれます。
子どもの教育
親は「自分の子どものことは分かっている」と思いがちです。しかし見えているのは性格の一面です。24時間一緒にいて、同級生や友人とどう接するか、相手の立場によってどんな姿を見せるか、親をどう見ているかまで観察することはできません。筆者は、子どもの命盤からこうした面を知り、その子に合った教育につなげられると考えています。
キャリアプランニング
明確な目標がある人には、あまり役立たないかもしれません。ただ、どんな仕事が向くか、大学でどの専攻を選ぶか迷う人には参考になります。将来の仕事で順調な時期や困難な時期を予報のように考え、前もって備えることもできます。
会話のきっかけ
星座やMBTIと同じく、紫微斗数も会話のきっかけになります。初対面の緊張をほぐし、早く知り合う助けになり、双方がある程度知っていれば特に話が進みやすくなります。
結婚相手を選ぶこと
結婚相手選びというと、出生情報を使った相性占いを思い浮かべるかもしれませんが、ここでいう使い方は違います。お見合いでも自然な恋愛でも、正確な生年月日や出生時刻をいきなり聞くのは気まずいものです。紫微斗数を知っていれば、会話や接し方から星曜の組み合わせを大まかに考え、付き合い方の参考にできます。双方が知っていれば、星座のように主星を話題にし、出生情報を聞かずに性格や好みを素早く知る助けになります。
用語説明
紫微斗数には専門用語が多く、意味を知ると人の命盤の解釈も理解しやすくなります。多くの解釈に触れたら、自分でも読んでみましょう。命盤を研究する楽しさを感じられるよう、よく使う用語を順に説明します。
性別の陰と陽
紫微斗数では 陽男陰女 と 陰男陽女 という表現をよく使います。出生年の 天干 の陰陽と性別を組み合わせると、次の四つに分かれます。
- 陽年生まれの男性
- 陽年生まれの女性
- 陰年生まれの男性
- 陰年生まれの女性
性別と出生年の陰陽は、一部の計算の進行方向に影響します。
順行/逆行
紫微斗数で順行とは時計回りに、逆行や逆部とは反時計回りに進むことです。陽男陰女順行は時計回りの配列を、陰男陽女逆行(逆部)は反時計回りの配列を意味します。
命盤
詳しくは命盤の紹介を参照してください。
命盤の作成
出生年月日、時辰、性別から命盤を作成することです。
命盤の解釈
命盤に示された情報を読み解くことです。
本命盤
天盤とも呼ばれ、出生年月日と時辰から算出する命盤です。その配置は固定されています。大限盤
地盤とも呼びます。天盤の十二宮が順に中心となり、各宮の期間は10年です。命宮が第一大限となり、その後を第n大限と呼びます。流年盤
人盤とも呼びます。大限が十年ごとに変わるのに対し、流年は毎年変わります。その年の地支に対応する宮が流年命宮になります。天地人の三才
本命盤、大限盤、流年盤の総称です。格局
特定の
星曜の組み合わせは格局を作ります。ゲームの装備のセット効果のように、特定の性質に追加の作用を与えます。
宮位
宮位の基本知識は宮位のしくみで詳しく説明します。
宮干
その宮の
天干を指します。対象の宮
今調べている宮です。
夫妻宮を見ているなら、その宮が対象の宮になります。対宮
対象の宮の向かい側にある宮で、
対宮の位置とも呼びます。三合の位置
三才方や三方とも呼び、対象の宮と、その番号に±4を適用した2つの宮を合わせて指します。対宮の位置
対宮とも呼ばれ、対象の宮のインデックスに+6を適用した位置です。三方四正
三合の位置と対宮の位置の総称です。天羅・地網
辰と戌の2つの宮を指し、辰が天羅の位置、戌が地網の位置です。『周易』に由来する概念で、辰は天罡、戌は河魁に対応します。この2つは大六壬の十二神将にも含まれます。覚える必要はありませんが、興味があれば詳しく調べてみてください。空宮
その宮に主星がないことです。
両隣の宮
対象の宮のすぐ前後にある2つの宮です。
天門・地門
これらの概念は風水から来ています。
天門は
亥の宮を指します。後天八卦では乾卦の位置に当たり、地支では戌と亥に対応します。ただし戌の宮にはすでに地網の位置の意味があるため、天門は亥の宮に対応させます。月朗天門という格局は、命宮または身宮が亥の宮にあり、そこに太陰がある配置です。地門は
巳の宮を指し、風水では地戸の位置、すなわち地に入る門です。地支では辰と巳に対応しますが、辰の宮にはすでに天羅の位置の意味があるため、地門は巳の宮に対応させます。雷門
卯の宮を指します。卯の宮は八卦の震卦の位置に当たるため、雷門と呼びます。日照雷門とは、太陽と天梁が卯の宮に同宮する配置です。天宮・地宮
天宮は
子の宮、地宮は丑の宮を指します。「天開於子,地闢於丑,人生於寅」という考え方で、来因宮の説明に関係します。天宮・地宮を、先述の天門・地門と混同しないでください。名称は似ていますが、由来も位置も異なる概念です。
星曜
星曜は、紫微斗数の宮位を構成する重要な要素です。詳しくは星曜のしくみを参照してください。
流曜
大限や流年に応じて変わる星曜です。遇・加・逢・同宮・同度
星曜が同じ宮にあることです。例えば
紫微と右弼が同度とは、両方が同じ宮にあるという意味です。会・照・冲・扶拱
会と扶拱は、星曜が対象の宮の三方の位置にあることです。照と冲は、対宮の位置にあることです。ある星曜と「会照する」と言う場合は、その星曜が三方四正の範囲にあれば該当します。坐・據・守
星曜がある宮に入っていることです。例えば
貪狼が夫妻宮に坐すとは、その宮にあるという意味です。空星・空曜
地空、天空、旬空、空亡を指します。暗曜
巨門を指します英星
破軍を指します将星
七殺を指します
陰陽と五行
中国の道家思想では陰陽と五行が根本的な概念です。ここでは詳しく扱わず、概要だけを紹介します。
陰陽
道家で「一から二が生じる」と言うとき、その二とは陰陽であり、物事の二つの側面を表します。たとえば、
光は陽、影は陰です。男性は陽、女性は陰です。正電荷は陽、マイナス電荷は陰となります。
このように、陰陽は相対的な概念です。万物は互いに補い合い、幸と不幸もつながっています。大切なのは、過不足を避けて陰陽のバランスを取ることです。
陽は力強さや激しさを、陰は柔らかさや控えめな性質を連想させます。五行
元素の考え方は文化によって異なります。例えば古代ギリシャでは、土・風・水・火の4つでした。
古代インドの
五元素は、古代ギリシャの四元素に空間を加えたものです。土・風・水・火・空間からなります。
中国の
五行は、他の元素の体系と共通する部分も異なる部分もあります。五行は水・木・金・土・火です。金・木・水・火・土の順のほうが言いやすいかもしれませんが、ここでは紫微斗数の五行局に合わせて並べています。
天干と地支
中国の伝統文化において、干支紀年 は、数学における足し算、引き算、掛け算、割り算、英語の 26 文字と同じように、非常に重要な基礎知識です。 紫微斗数 では、天干 と 地支 に従って命盤全体の配置が計算されます。したがって、基礎として暗記する必要があります。
十天干
十天干は、紫微斗数で重要かつ有用な四化を定めます。詳しくは四化星を参照してください。
| 名称 | 五行 | 陰陽 |
|---|---|---|
| 甲 | 🪵 木 | 🌕 陽 |
| 乙 | 🪵 木 | 🌑 陰 |
| 丙 | 🔥 火 | 🌕 陽 |
| 丁 | 🔥 火 | 🌑 陰 |
| 戊 | ⛰️ 土 | 🌕 陽 |
| 己 | ⛰️ 土 | 🌑 陰 |
| 庚 | 🪙 金 | 🌕 陽 |
| 辛 | 🪙 金 | 🌑 陰 |
| 壬 | 🌊 水 | 🌕 陽 |
| 癸 | 🌊 水 | 🌑 陰 |
十二地支
地支は、紫微斗数の宮位の固定した位置を定めます。学校を建てると各学年や教室の場所が決まるようなものです。一方、命宮の位置は人によって異なり、入学時に1組にも10組にも配属されることにたとえられます。十二宮での地支の位置は下の表を参照してください。
巳3 | 午4 | 未5 | 申6 |
辰2 | 中宮 | 酉7 | |
卯1 | 戌8 | ||
寅0 | 丑11 | 子10 | 亥9 |
天干と同じく、十二地支にも陰陽と五行の区分があります。
| 名称 | 五行 | 陰陽 |
|---|---|---|
| 子 | 🌊 水 | 🌕 陽 |
| 丑 | ⛰️ 土 | 🌑 陰 |
| 寅 | 🪵 木 | 🌕 陽 |
| 卯 | 🪵 木 | 🌑 陰 |
| 辰 | ⛰️ 土 | 🌕 陽 |
| 巳 | 🔥 火 | 🌑 陰 |
| 午 | 🔥 火 | 🌕 陽 |
| 未 | ⛰️ 土 | 🌑 陰 |
| 申 | 🪙 金 | 🌕 陽 |
| 酉 | 🪙 金 | 🌑 陰 |
| 戌 | ⛰️ 土 | 🌕 陽 |
| 亥 | 🌊 水 | 🌑 陰 |
地支六合
結合には相互の助けという意味があり、その助けは密かに行われます。ここでは地支を詳しく論じず、暗合宮の説明に必要な六合を示します。
子と丑が結合し、⛰️土となります。寅と亥が結合し、🪵木となります。卯と戌が結合し、🔥火となります。辰と酉が結合し、🪙金となります。巳と申が結合し、🌊水となります。午と未が結合し、⛰️土となります。
地支三合局
六合と同じく、三合の結合も助け合う関係です。ただし六合が密かに助けるのに対し、三合は表立って助けます。ここでは三方四正の説明に必要な地支の三合局を紹介します。
申・子・辰が結合し、🌊水の局となります。亥・卯・未が結合し、🪵木の局となります。寅・午・戌が結合し、🔥火の局となります。巳・酉・丑が結合し、🪙金の局となります。
地支六冲
冲は対立を表し、調和させるには大きな力が必要な関係です。地支の六冲は三方四正の説明に使います。
子と午は互いに冲します。卯と酉は互いに冲します。寅と申は互いに冲します。巳と亥は互いに冲します。辰と戌は互いに冲します。丑と未は互いに冲します。
十二時辰
中国の伝統的な時刻では、1日を十二時辰に分け、1時辰は現在の2時間に当たります。子時は23:00~01:00で日付をまたぐため、特別に早子時と晩子時に分けます。対応する時刻は次の表のとおりです。
| 名称 | 時間帯 |
|---|---|
| 早子時 | 00:00~01:00 |
| 丑時 | 01:00~03:00 |
| 寅時 | 03:00~05:00 |
| 卯時 | 05:00~07:00 |
| 辰時 | 07:00~09:00 |
| 巳時 | 09:00~11:00 |
| 午時 | 11:00~13:00 |
| 未時 | 13:00~15:00 |
| 申時 | 15:00~17:00 |
| 酉時 | 17:00~19:00 |
| 戌時 | 19:00~21:00 |
| 亥時 | 21:00~23:00 |
| 晩子時 | 23:00~00:00 |
五行局
五行局は、紫微斗数の最初の大限が始まる年齢を決める基準です。六十干支の納音に由来しますが、本サイトでは六十納音自体は扱わないため、興味があれば別に学んでください。名称の数字が開始年齢を示し、水の二局なら2歳、土の五局なら5歳から始まります。ここではその理解で十分です。五行局は次の5種類です。
- 🌊
水の二局 - 🪵
木の三局 - 🪙
金の四局 - ⛰️
土の五局 - 🔥
火の六局