十四補助星
はじめに
紫微斗数では補助星を六吉星・六煞星・二助星に分けます。ただし、この名称は吉星なら必ず良く、煞星なら必ず悪いという誤解を招きがちです。吉星とはその性質が本人に良い影響を与えやすく、煞星はその逆という意味です。筆者は中国の武侠小説『笑傲江湖』の名門正派と日月神教にたとえています。名門正派の人が全員善人ではなく、日月神教の人も全員悪人ではありません。
大切なのは各補助星の性質と、主星と組み合わさったときに生じる新たな特徴を理解することです。筆者は「水は舟を浮かべ、お粥も炊ける」と冗談を交えています。同じものでも使い方は状況によるということです。吉凶や善悪の固定した分類を離れ、十四補助星を見直しましょう。どの星曜にも長所と短所があり、人の善悪を決めつける根拠にはできません。
先ほど十四主星を、宮の雰囲気を決める担任にたとえました。十四補助星は学級委員です。有能な委員が協力すればクラス運営は楽になりますが、担任に反発すればクラスは騒がしくなります。
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六吉星
左輔
| 陰陽 | 陽 🌕 | 五行 | 戊土 ⛰️ | 星系の区分 | - |
| 象徴的な性質 | 助力 | 五行の色 | 黄色 | エネルギーの色 | 黄色の光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 善行をする | 別名 | 助けとなる人を表す星 |
誰でも貴人を歓迎しますが、必ず大きな助けをくれる人だと思うと誤解になります。貴人は友人とは限らず、人そのものではない場合もあります。左輔の性質は助力なので、命宮にある人は他人を助け、引き立てることを好みます。年長者や先輩の視点から、後輩に手を差し伸べるような助けです。
左輔には地位を高める働きがあります。助けが直接的で強く、実感しやすいため「男性の貴人」とも呼ばれます。その性質から、少し格式張った、権威のある印象も生まれます。仕事や社交の場で自信や権威を示し、先導して人に助言や支援を与える役割を好みます。
その直接的で強い態度は、時に冷たく近寄りがたく見えます。また、左輔は周囲の人間関係を通じて地位や影響力を高めるのが得意で、主星に対人関係を扱う力を加えます。
右弼
| 陰陽 | 陰 🌑 | 五行 | 癸水 🌊 | 星系の区分 | - |
| 象徴的な性質 | 助力 | 五行の色 | 黒 | エネルギーの色 | ベージュ色の光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 制度や規則を司る | 別名 | 助けとなる人を表す星 |
直接的な左輔に比べ、右弼は柔らかな性質です。陰で静かに支えるため助けを実感しにくく、「女性の貴人」と呼ばれます。優しさ、善良さ、気遣い、理解する心が右弼を表す言葉です。
人の求めることをよく聞き、進んで助け、慰めや励ましを与えます。ただし、右弼は他人の意見に流されやすく、自分の立場や考えが揺らぐこともあります。
右弼は強い星曜の尖った性質を和らげ、助言を受け入れやすくするため、よい組み合わせになります。ただし、もともと意志の弱い星曜と組むと、優柔不断になりすぎることがあります。
こうした性質から右弼は好まれる星曜です。ただし、その助けには判断力が足りず、善意でもかえって物事を悪くする場合があります。芸術的な素養や才能も加えます。
天魁
| 陰陽 | 陽 🌕 | 五行 | 丙火 🔥 | 星系の区分 | 南斗の補助星 |
| 象徴的な性質 | 助けとなる人 | 五行の色 | 赤 | エネルギーの色 | 赤い光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 助力と達成 | 別名 | 天乙貴人。文の星、才能の星、科挙合格の星 |
天魁は天乙貴人で、通常「男性の貴人」とされます。左輔が年長者の雰囲気なら、天魁は指導者の雰囲気です。人をまとめて管理したい気持ちが強く、決断もはっきりしています。天魁と天鉞はともに格式張った口調を使い、言葉の選び方にも細かく気を配る傾向があります。
古典では天魁と天鉞を高く評価し、それさえあれば富と地位が得られるかのように述べています。当時の社会では、文筆に優れ、指導力を求め、人付き合いにも通じた人は、確かに出世の機会を得やすかったでしょう。ただし現代では、地位に見合う徳のない人は厳しく見られます。
貴人星の中でも、天魁の助力は自分の努力で得るものです。根本原因よりも目の前の問題に対処するため、主に急場をしのぐ助けとなります。自分自身にも確かな実力が必要で、その助力は能力や理解の深さに関わります。学業の成果を示す星でもありますが、主に文学的な素養を増すため、理工系への助けは大きくありません。
天鉞
| 陰陽 | 陰 🌑 | 五行 | 丁火 🔥 | 星系の区分 | 南斗の補助星 |
| 象徴的な性質 | 助けとなる人 | 五行の色 | 赤 | エネルギーの色 | 紫色の光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 助力と達成 | 別名 | 玉堂貴人。側室の星、手術の星 |
天鉞は玉堂貴人と呼ばれ、右弼と同じく間接的に助けるため、通常「女性の貴人」とされます。天魁が人を率いるのを得意とする一方、天鉞は考え、分析し、計画を立てるのが得意です。人より仕事を管理することを好み、自分が担当する事柄への口出しを嫌います。
天鉞の助け方は、目の前の問題に対処する天魁とは異なります。原因そのものを解決し、問題が表に出る前に取り除く傾向があります。例えば、車を買いたいのに頭金が少し足りない場合、天魁は不足分を貸してくれる形で助けます。一方、天鉞はその金額に相当する値引きを交渉し、そもそも不足が生じないようにする形で助けるかもしれません。
先ほどの例はやや単純ですが、天魁と天鉞の助け方の違いは示せます。天鉞の助力も、自分の努力で求める必要があります。また、知性や洞察力も高めます。区別するなら、左輔と右弼は家族の年長者のように、必要だと知れば助けてくれます。一方、天魁と天鉞には、知ってもらうだけでなく、自分から助けを求める必要があります。
文昌
| 陰陽 | 陽 🌕 | 五行 | 庚金 🪙 | 星系の区分 | 南斗に属する星 |
| 象徴的な性質 | 学問による栄達 | 五行の色 | 白 | エネルギーの色 | 青白い光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 正規の道による功名、科挙 | 別名 | 科挙の星、文書の星、風流の星、恋愛の星 |
文昌は、紫微斗数で学業や試験の成果を表す第一の科甲の星です。文書に関わる事柄を表し、天梁の清廉さや頑固さを持つ「小さな天梁」と捉えられます。古典では「正途功名」と呼びます。例えば母親に「この分野を学び、将来その仕事をしたい」と話して、「いい志だね、全力で応援する」と言われるような、社会的に認められた正統な進路を指すと考えると分かりやすいでしょう。
文学を好み、教養があり礼儀正しい印象を与える星曜です。単独では堅く融通の利かない面もあるため、桃花星には含めません。ただし桃花星と組み合わさると、堅さが洒脱で魅力的な印象へ変わることがあります。
文昌は、聞いたことや読んだことを比較的よく覚える性質です。昔の試験では文学の力と記憶力が大きな武器だったため、科甲の星とされました。今も重要な能力ですが、当時ほど代わりのない位置を占めてはいません。
文曲
| 陰陽 | 陰 🌑 | 五行 | 癸水 🌊 | 星系の区分 | 北斗の第四星 |
| 象徴的な性質 | 文芸の華やかさ | 五行の色 | 黒 | エネルギーの色 | ベージュ色の光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 別の道による功名、優雅さ、弁舌、才能 | 別名 | 噂好きの星、才芸の星、側室の星、才能の星、芸術の星、恋愛の星、ロマンスの星、妾の星 |
文曲は北斗の第四星で、紫微斗数の芸術を代表する第一の星です。芸術的な素養とロマンを表します。「異途功名」と呼ばれますが、筆者は「芸の道で得る功名」という意味もよく合うと考えています。文昌の例と対比して、学びたい分野や将来の仕事を母親に話したら、喜んで応援する代わりに、大げさに驚いて「絶対だめ!」と言われる場面を想像してください。そのような非伝統的な進路が、ここでいう異途に当たります。
この例は、文昌と文曲が表す功名の道の違いを示すためのもので、今の親はもっと理解があります。文曲は柔軟で感受性が豊かです。表現力を高めるため、言葉による争いや噂も表すことがあります。
文曲には、芸術的な表現の土台となる文化的な素養が必要です。土台がなければ、わざと感傷的になったり、深みがあるふりをしたりするように見えます。紫微斗数には、ゲームのセット装備のように、組になると追加の作用を生む対星が多くあります。文昌と文曲は文貴文華格を形成し、優れた才能を表します。ただし、格局に頼りすぎると判断を誤りやすくなります。
六煞星
地空
| 陰陽 | 陰 🌑 | 五行 | 丁火 🔥 | 星系の区分 | 二十八宿 |
| 象徴的な性質 | 空亡の気 | 五行の色 | - | エネルギーの色 | - |
| 主な管轄 | - | 役割 | - | 別名 | 財を失う星、中断の星、ゼロに戻る星、宗教の星、空想の星、創造の星 |
古典は地空を「半空折翅」と表現しており、不吉に聞こえます。ただし、地空は比較的中立的です。行動より考えることに重点があるため、途中で飛行が止まるような印象になるのです。
地空は面倒を嫌い、手順や懸念が多いと避けようとします。始めることは難しいものですが、課題に直面して退くと進行が途切れます。そのため「中断の星」と呼ばれます。
考えることが得意で、発想の多い星曜です。天馬と組むと、自由に広がり、次々と飛躍する想像力を表します。芸術の創作や文章・企画に素質を示しますが、実生活では実現する必要があります。地空は発想を形にできないとき、「別人笑我太瘋癲,我笑他人看不穿」という、理解されない感覚を持ちがちです。
地劫
| 陰陽 | 陽 🌕 | 五行 | 丙火 🔥 | 星系の区分 | 二十八宿 |
| 象徴的な性質 | 劫煞の気 | 五行の色 | - | エネルギーの色 | - |
| 主な管轄 | - | 役割 | - | 別名 | 財を失う星、噂の星 |
地空を表す「半空折翅」に対し、地劫は「浪裏行舟」と表現されます。地空は主に思考、地劫は物質面に作用します。地劫は機会を厳しく選び、魅力的に見えても何度も考えます。
機会を厳しく選ぶため、良い時機を逃し、大きな利益が目の前にあっても見過ごすように見えることがあります。筆者は、筋を通して財を求める人と、礼を欠いて求める人を冗談交じりに対比しています。地劫は何でも稼ごうとはせず、自分で決めたルールの中で道を探し続けるため、苦労が多くなりがちです。
堅実に稼ぐことは悪くありません。ただし地劫はリスクを嫌うため、長期的に成果を待つことが課題になります。最初に投資しても、危険の兆しがあると続けられず、最後の成果を他人が得ることがあります。短期間で簡潔に、素早く結果を出す仕事が得意です。
趣味や研究など、すぐには成果が出ないこともあります。自分に合ったペースで少しずつ進める必要があるため、地劫は広く手を付けても深く極められない状態に陥りがちです。予定を立て、段階ごとに進めることが対策になります。
火星
| 陰陽 | 陽 🌕 | 五行 | 丙火 🔥 | 星系の区分 | 南斗浮星 |
| 象徴的な性質 | 激しい気性 | 五行の色 | 赤 | エネルギーの色 | 赤い光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 激しい気性、破壊性 | 別名 | 衝動的な星 |
火星は名前から感じるとおり衝動性を加えますが、主に考え方や判断に表れます。十分に考えず、心の向くまま決めやすい性質です。活力や決意、目標を追う意欲、簡単に妥協しない姿勢を与えますが、感情に左右されて性急に選ぶこともあります。
長期的な成果や確かな土台より、目先の満足や素早い結果を求め、待ったり楽しみを先延ばしにしたりすることを好みません。この性質は夢を追う際に人一倍の活力と熱意をもたらします。ただし、後悔や不要なリスクを避けるため、衝動に任せて動く前に結果をよく考える必要があります。
火星は感情に強く作用し、うれしいときは熱く情熱的に、怒ると嵐のように激しくなります。感情の振れ幅が大きく、内面の情熱や衝動がそのまま表れます。気持ちを隠すのが苦手で喜怒哀楽を率直に示すため、会話では正直で飾らない印象を与えます。
鈴星
| 陰陽 | 陰 🌑 | 五行 | 丁火 🔥 | 星系の区分 | 南斗浮星 |
| 象徴的な性質 | 剛直で激しい気性 | 五行の色 | 赤 | エネルギーの色 | 暗赤色の光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 剛強さ、驚かせる性質 | 別名 | 内に情熱を秘める星、頑固な星 |
火星の直接的な表現とは異なり、鈴星は感情を一度に出さず、内にためて少しずつ表します。そのため控えめで深みのある印象を与えます。感情を外に出すより、内面で考え、受け止める傾向があります。
この控えめな性質は、感情を冷静に扱い、周囲の気持ちに振り回されにくくします。ただし、抑えすぎると感情がたまります。心の健康や人間関係のバランスのため、適切に表現し、解放することも必要です。
鈴星は無駄を抑えて細かく考え、衝動的には動きません。決断の前によく検討し、生活のさまざまな事柄を順序立てて計画することを好みます。その慎重さは堅実で頼れる長所ですが、行きすぎると機会を逃すこともあります。
無駄を抑えて細かく考える性質は、資金や生活の計画を堅実にし、安定とバランスを保つ助けになります。物事を慎重に扱える一方、成長や成果のためには、時に視野を広げ、適度なリスクを受け入れることも必要です。
陀羅
| 陰陽 | 陰 🌑 | 五行 | 辛金 🪙 | 星系の区分 | 北斗浮星 |
| 象徴的な性質 | 忌 | 五行の色 | 白 | エネルギーの色 | 暗赤色の光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 争い、残忍さ | 別名 | 争いの星、しつこく関わる星 |
陀羅の中国語名は、こまを意味する言葉に通じます。子どもの頃にむちでたたいて回すこまのように、考えが回り続ける星曜にたとえられます。思い悩み、決断をためらうため、行動を先延ばしにしたり、機会を逃したりしやすくなります。
よく考えてから動けば、リスクを減らし、成功しやすくなります。ただし陀羅は、迷いを乗り越えて選ぶことも必要です。機会を逃したり、考えが循環し続けたりしないためです。星曜の性質自体に優劣はなく、うまく使えば思いがけない効果も得られます。
陀羅は研究が得意で、驕らず焦らず順序立てて進めます。目先の利益より長期的な進歩と知識の蓄積を重視し、長い課題に向いています。原理や本質、法則を深く理解しようとするため、専門分野や学術研究で強みになります。ただし考えすぎて実行や成果を妨げないことも大切です。
擎羊
| 陰陽 | 陽 🌕 | 五行 | 庚金 🪙 | 丙火 🔥 | 星系の区分 | 北斗浮星 |
| 象徴的な性質 | 刑 | 五行の色 | 白 | エネルギーの色 | 赤と白の光 |
| 主な管轄 | - | 役割 | 粗暴さ、残忍さ | 別名 | 処理の星、反逆の星 |
火星が思考の衝動なら、擎羊は行動の衝動です。言葉や考えだけではなく実際に動く、典型的な行動派です。素早く動き、挑戦や困難を恐れず、決断してすぐ実行に移す力があります。
擎羊は考える前に動きがちなので、衝動による失敗を避けるため、一度考えることが必要です。行動力は目標の達成や困難の克服に役立ちますが、起こり得る結果も十分に考慮しなければなりません。
擎羊は他人の意見や期待より、自分の行動や目標を重視します。周囲に左右されにくく、自分のやり方とペースで生きようとします。その独立性から変わり者と見られることもありますが、個性や魅力にもなります。目標や生き方を確かに貫き、親しみやすさが弱くても、誠実さや強い意志を好む人を惹きつけます。
二つの助星
天馬
| 陰陽 | 陽 🌕 | 五行 | 丙火 🔥 | 星系の区分 | 中天星系 |
| 象徴的な性質 | 駅馬(移動) | 五行の色 | - | エネルギーの色 | - |
| 主な管轄 | 遷移を司る | 役割 | 変動、移り変わり | 別名 | 駅馬の星、移動の星、財の星、祿を司る星 |
紫微斗数で最もじっとしていられない星曜は天馬でしょう。変化や不確実性を加え、活力にあふれ、刺激や新たな挑戦、機会を求め続けます。冒険心があり、新しいことを試し、単調な生活には我慢しにくい性質です。束縛より自由と多様さを望みます。
天馬は自分の目標を積極的に追い、制限より自由な雰囲気を好みます。未知を探り、成長しようとします。あちこち動くことを好む人には長所ですが、落ち着いた生活を望む人にはつらく感じられます。
天馬は1つの目標を追い続けるより、さまざまな機会や可能性を探すため、成功の機会を見つけやすくなります。ただし継続や積み重ねは弱点で、小さな利益を追って大きな機会を失うことがあります。
祿存
| 陰陽 | 陰 🌑 | 五行 | 己土 ⛰️ | 星系の区分 | 北斗の第三星 |
| 象徴的な性質 | 富 | 五行の色 | 黄色 | エネルギーの色 | 緑色の光 |
| 主な管轄 | 財帛を司る | 役割 | 長寿、高い爵位 | 別名 | 財の星 |
紫微斗数で最も人気のある星曜は祿存かもしれません。財星を歓迎しない人は少ないでしょう。ただし祿存の財は、すでに持っている元手に近いものです。自分の元手は慎重に扱うため、安定と用心深さを加えます。
祿存は支出にとても慎重です。損失を防ぐ一方、機会も逃しやすくなります。リスクを嫌い、性急な主星を落ち着かせるため、古典では煞の作用を和らげる星曜とされます。
ヒント
補助星は主に主星の性質を補います。複数が同じ宮にあると性質が競合しますが、両立できないという意味ではありません。例えば擎羊と鈴星があれば、衝動的に動きたくても結果を考えます。進みたい気持ちと考える必要が重なると、感情の負担が大きくなります。そのため煞星や化忌が集中するとつらく感じられます。天馬と陀羅の相反する性質も同じ宮に共存し、内面的な消耗を生むことがあります。宮によって、身体的な疲労か精神的な疲労として表れます。